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G.C FACTORY編集部

M&A成約事例 譲受事例 譲渡事例

M&A成約事例「一都三県、整形外科、医療法人」

 

 

Ⅰ.はじめに

 

この度、弊社がご支援をさせていただいた一都三県の医療法人譲渡の案件がご成約となりました。

そこで、担当者であるM&A仲介コンサルタントの髙淵に本件についてインタビューを行いました。売り手様側に他社がファイナンシャルアドバイザー(以下FAと略す)が付いているケースでのスケジュール作成から、最終譲渡契約までの苦労した点、全体を通して勉強になった点についてのインタビューです。

医療機関M&Aを考えている多くの先生のご参考にしていただければ幸いです。

案件概要
エリア 一都三県
診療科目 整形外科
売り手 医療法人 理事長
買い手 医療法人
譲渡対価 7000万円
(営業権約6000万円+純資産額約1000万円)
スキーム 法人譲渡
譲渡契約書締結までの期間 約10ヶ月間
譲渡契約書締結から譲渡実行までの期間 譲渡契約締結日とクロージング日は同日
G.C FACTORY  役割 ・買い手様FA業務
・管理医師手配のサポート

 

Ⅱ. M&A成約までのスケジュール

大項目 詳細 始期 終期
売り案件受注 売り手様からの相談 機密保持契約書の締結 2022年7月 2022年7月
相手探し 買い手様候補の探索 2022年7月 2022年10月
買い手様候補からの質問対応・内見 2022年10月 2022年11月
最終契約譲渡契約 契約書作成 締結 2023年6月上旬 2023年8月1日
クロージング 譲渡実行 2023年8月1日

Ⅲ.各工程の詳細についてのインタビュー

 

1. スケジュール作成に関して

 

Q1 今回の譲渡までの期間はいかがでしたか。

 

髙淵:
譲渡スケジュールは、初回の相談から成約まで約10ヶ月かかりました。 今回は、売り手様に別会社のFAが付いていたので、そのFAと相談してスケジュールを決めました。

 

Q2 売り手様には、何名の買い手様候補を紹介しましたか?

 

髙淵:
4名紹介し、売り手様のFAとやり取りをしました。 その中でトップ面談に進んだのは、今回の買い手様のみでした。

 

Q3 今回は10ヶ月間という少し長めのスケジュールと思いますが、苦労した点はありますか?

 

髙淵:
はい。中でも譲渡条件の交渉に時間を要しました。また売り手様FA側とのスケジュール調整にも苦労をしました。

Q4 他にも苦労した点はありますか?

髙淵:

買い手様側の継承後の管理医師探しに苦労しました。

結果として、管理医師の就任が決まったのですが、当初の予定よりも半年近く遅れてしまいました。

その為、しばらくの期間売り手様の継続勤務で運営することになってしまいました。

 

2. 売り手の受注

Q5  今回の売り手様とはどういった経緯で受注をしたのですか。

 

髙淵:

売り手様側のFAからの紹介です。この会社は日頃連携しているM&Aコンサルティング会社でして、今回ご紹介をいただき受注に至りました。

 

 

3. 買い手の探索

 

Q6 買い手様の探索はどのように行いましたか?

 

髙淵:
今回の買い手様は、過去にも数件の買収実績がある既存のお客様でした。

売り手様の情報をホームページなどで公開する前に、優先的にお声がけをさせていただきました。情報公開をしなかった為、情報漏洩のリスクも最小限に抑えて探索することができました。

 

Q7 ホームページなどに公開せずに探索したのですね。今回の買い手様以外にもお声がけをしましたか?

 

髙淵:
はい。同じタイミングで4名の既存のお客様に紹介しました。

今回の案件に関しては、売り手様にFAが付いていた為、売り手様側でも買い手探索をされており、多くのお問い合わせがあったそうです。その選定で、通常より最終契約締結まで時間がかかりました。

 

Q8 そこから何件がトップ面談に進みましたか?

 

髙淵:
トップ面談に進んだのは、今回の買い手様を含む2件です。

 

Q9 どのような基準で買い手を選んだのでしょうか。

髙淵:
買い手様が分院展開を複数しているような大きな運営母体の為、売り手様としては買い手様の資金力や実績、管理医師を探すことが出来るということを基準に選ばれていました。

 

 

4. トップ面談・内見

 

Q10 トップ面談はどのようにおこなわれましたか?

 

髙淵:
トップ面談は、売り手様の理事長、売り手様のFA、買い手側は医療法人の責任者と事務局の方2名、私を含め合計6名でおこないました。

 

Q11 トップ面談には、どれくらいの時間がかかりましたか?

 

髙淵:
大体1時間~1時間半の面談を、4回に分けておこないました。

 

Q12 4回に分けてトップ面談をおこなった理由は何ですか?

 

髙淵:
買い手様が比較的慎重で、直接売り手様と顔を合わせて話を進めたい意向だったことが大きな理由です。買い手様の責任者は4回のトップ面談に必ず参加し、質疑応答や進捗の報告などをしていました。

 

 

5. 意向表明書の提出に関して

 

Q13  今回、意向表明書の提出はしましたか?

 

髙淵:
いえ、今回は意向表明書の書面提出はしませんでした。

 

Q14 書面で意向表明書を提出しなかった理由は何ですか?

 

髙淵:
売り手様のFAの意向でした。意向表明の提出が不要で、その代わりにメールで希望条件をお送りしていました。また、他に競争している買い手候補もいなかったので、弊社も今回は意向表明の提出をせずに進めることに賛成しました。

 

 

6. 譲渡価格の決定

 

Q15 今回、譲渡価格はどのように決めましたか。

 

髙淵:
譲渡価格は、売り手様の希望価格に沿って決めました。最終的には交渉をして、当初の金額から1500万円ほど値引いた価格で決まりました。

 

Q16 売り手様が希望価格を決めていた根拠はありますか?

髙淵:
はい。売り手様の希望する退職金の金額に基づく価格設定をされていました。それに加えて、売り手様の顧問税理士が算定をして希望価格を出していました。最終的には、売り手様が価格交渉に応じていただいたので無事に合意できました。

 

 

7. 基本合意契約について

 

Q17 次に、基本合意契約について教えてください。

 

髙淵:
今回の基本合意契約は、売り手様のFAの雛形を使用して作成しました。しっかりと網羅され、かつ中立の内容でしたので、大きな修正もなく進みました。

期間としては、トップ面談から基本合意契約の締結まで3カ月ほど経っていました。

 

Q18 基本合意契約をするにあたり、心掛けていたことはありますか?

 

髙淵:
今回、売り手様側のFAより、以前の候補者が譲渡価格の不一致によって破談していたのを聞いていました。なので、なるべく売り手様の希望譲渡価格に合わせるような調整をしており、それに買い手様が応じてくれていたため、基本合意契約書はさほど大きな論点はありませんでした。

 

Q19 確かに価格は重要ですね。その他にも、心掛けたことはありますか?

 

髙淵:
そうですね、売り手様がスピード感も重要視されていたので、そこも心掛けました。

 

 

8. 融資について

 

Q20 買い手様の融資について教えてください。

 

髙淵:
今回は借入による資金調達はなしで、全額買い手様の自己資金で賄いました。

 

Q21 資金調達なしだったのですね。では、買収監査はしましたか?

 

髙淵:
はい、簡易的に実施しました。財務、税務は買い手様の顧問税理士に決算書を確認してもらいました。法務や労務なども買い手様法人内の監査チームで確認しました。

 

Q22 買収監査には、どれくらいの期間がかかりましたか?

髙淵:
買収監査の期間は、約2カ月でした。売り手様も資料の提供など協力的だったので、比較的スムーズに進みました。

 

 

9. 最終譲渡契約

 

Q23 最終譲渡契約はスムーズに進みましたか?

 

髙淵:
いえ、今回は最終譲渡契約からが時間を要しました。追加の譲渡価格の交渉が最終譲渡契約のタイミングで入ったことが難航した要因です。

今回、最終譲渡契約書を締結して12月末に売り手様に退職金を支払うまでの期間、クロージングでのお金回りの確認や、12月末までの間に収益を保つことが出来るかなどを買い手様が不安に思われていたことで、時間が掛かりました。

 

Q24 どのように買い手様に納得していただきましたか?

 

髙淵:
毎月の試算表をもらい、それを元に細かく収支計画書を作成し、納得してもらいました。

 

Q25 なるほど。価格交渉は、買収監査後に入ったのですか?

 

髙淵:
はい。買収監査後に価格交渉が入りました。その為、基本合意時と買収監査後で譲渡価格が変わりました。

 

Q26 途中で譲渡価格が変わるケースはよくありますか?

髙淵:
そうですね。個人的な感覚ですが30%くらいの確率で、このように価格交渉が入るケースがあります。

 

Q27 最終契約締結までどれくらいの期間がかかりましたか?

髙淵:
基本合意締結が1月末、最終契約締結が8月末なので、大体7か月かかりました。独占交渉権も7カ月間延長を繰り返しました。

 

 

10. 最終契約後の経営統合

 

Q28 買収後の経営統合は順調に進みましたか。

髙淵:
はい。最終契約後、経営統合(PMI)に起因するトラブルがありました。

トラブルの原因としては、事務業務の運用における売り手様と買い手様の業務方針の違いによるものでした。

その間の私の対応としては、売り手様のFAに確認と同意をいただいて、売り手様の先生と直接電話でやり取りをして、状況の把握や説明、説得を続けました。成約後でしたので少しイレギュラーな対応でした。現在はトラブルも落ち着き、4月の引継ぎに向けて前向きに進んでいます。

 

Ⅳ. 全体を通して勉強になった点、大変だった点について

 

Q29 今回特に勉強になったことを教えてください。

 

髙淵:
今回のように契約書を結びクロージングをしてから、理事長が退職金をもらうスキームは珍しい経験でした。その為、当初作成した収支計画の通りに進むのか常に緊張感がありましたが、様々なトラブルにも柔軟に対応でき、良い勉強になりました。また、管理医師の手配のサポートをしたことも大きな経験でしたので、今後に生かしたいと思います。

 

Q30 ありがとうございます。最後に今後の意気込みを教えてください。

 

髙淵:
今後も、どんなトラブルにも柔軟に対応できるようなコンサルタントを目指していきます。

 

Ⅴ. 終わりに

今回は医療法人譲渡案件の成約インタビューを行いました。弊社には柔軟に対応できるコンサルタントと、マッチングからM&A後の開業支援まで一気通貫で支援する体制が整っております。

今後も、事業譲渡したい方や譲受して開業されたい方、新規で開業されたい方、皆様の挑戦に不可欠な存在になるべく、誠実に想いに寄り添いながらご支援をさせていただきます。

 

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著者:株式会社G.C FACTORY 広報部

日々、医療機関経営の経営に関するコラムを執筆したり、院長先生へのインタビューを実施。
大手医療法人の理事長秘書、看護師、医学生、大手メディアのライターなど、
様々な背景を持つメンバーで構成しています。

 

 

担当コンサルタント:髙淵 信行(たかぶち のぶゆき)

コンサルティング事業部 グループリーダー

経歴:国内医療機器メーカー、医師紹介会社、医療系コンサルティング会社、「(株)メディカルノート」コンサルティング事業部設立メンバーを経て、(株)G.C FACTORY 創業第一期メンバーに至る。医療系M&A・新規開業支援業務では、50件以上の成約実績がある。現在、コンサルティング事業部の大黒柱として内外問わず信頼は厚く相談多数。ライフワークはサーフィンと育児。

資格:M&Aシニアエキスパート(事業承継・ M&A エキスパート協会/運営:日本M&Aセンター)