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G.C FACTORY編集部

M&A成約事例

M&A成約事例「一都三県、内科、事業譲渡案件」

 

 

Ⅰ.はじめに

このたび、弊社がご支援をさせていただいた一都三県の事業譲渡の案件がご成約となりました。

そこで、担当者であるM&A仲介コンサルタントの髙淵と竹野に本件についてインタビューを行いました。

スケジュール作成から譲渡実行までの詳しい流れや苦労した点、全体を通して勉強になった点についてのインタビューです。これからM&Aを考えている多くの先生のご参考にしていただければ幸いです。

案件概要
エリア 一都三県
診療科目 内科
売り手 個人
買い手 個人
譲渡対価 2000万円未満
スキーム 事業譲渡
譲渡契約書締結までの期間 2022年11月~2024年9月(約2年)
譲渡契約書締結から譲渡実行までの期間 7ヶ月間
G.C FACTORY  役割 仲介         

 

Ⅱ. M&A成約までのスケジュール

大項目 詳細 始期 終期
売り案件受注 売り手様からの相談 機密保持契約書の締結 2022年11月 2022年11月
相手探し 買い手様候補の探索 2022年11月 2023年4月
買い手様候補からの質問対応・内見 2023年4月 2023年7月
最終契約譲渡契約 契約書作成 締結 2024年7月 2024年9月
クロージング 譲渡実行 2024年3月 2024年3月

 

Ⅲ.各工程の詳細についてのインタビュー

 

1. スケジュール作成に関して

 

Q1 今回の譲渡スケジュールは、どのように決まりましたか?

 

竹野:
3月末に買い手が勤務しているクリニックを退職されるとのことで、4月からの承継をご希望でした。それに売り手も承諾をしてくださったので、そこに合わせて承継スケジュールを組みました。

 

Q2 買い手のご希望を売り手に伝えるにあたって考慮した点はありますか?

 

竹野:
売り手は、買い手の希望に柔軟に対応してくださったので、特にトラブルもなく進めることができました。

 

髙淵:
そうですね。売り手は「買い手のご意向に合わせていきます」という姿勢でした。

 

2. 売り手の受注

 

Q3 次に、売り手はどういった経緯で受託になったのかを教えてください。

 

髙淵:

連携先からのご紹介でした。こことは過去4件を一緒に成約しており信頼をいただけております。

 

3. 買い手の探索

 

Q4 買い手の探索はどのように行いましたか?

 

髙淵:
はい。今回は広く募集をかけました。具体的には、社内での提案からメールマガジンの配信、ホームページへの掲載、M&Aのプラットフォームへの掲載などです。そういった中で、売り案件を紹介してくださった会社と今回の買い手との間にご縁があり、最終譲渡契約締結に至りました。

 

竹野:
私は買い手の担当でしたので、まず買い手に今回の案件の他に、3案件ほど見ていただき、その中から今回の案件をお選びいただきました。

複数の案件を見ていただいていたことで、「本当に希望通りの案件なのか」という不安を残さずに進められたと思っています。

 

Q5 買い手は、どのような部分を重視して今回の案件に決められたのでしょうか。

 

竹野:
一番は立地ですね。今回の案件は駅近ではないものの、大通り沿いにあり視認性が良い点がポイントとなりました。内装の状態も良かったことも高評価で、他の案件ではなく今回の案件に決まりました。

 

Q6 最初に重視するポイントを整理して提案したということですね。

 

竹野:
実は、買い手は関東が住まいの方ではなかったため、関東の立地や条件については把握できていませんでした。そのため、案件をいくつか見ていく中で、立地条件や人口の統計等を踏まえて一緒に決めていきました。

 

Q7 今回買い手候補からの問い合わせは、何件くらいありましたか?

 

髙淵:
全部で5件の問い合わせがありました。

 

竹野:
ネームクリアとしては、今回の買い手が最初に入り、その後で3件のネームクリアが入りました。

 

Q8 今回、買い手の探索で苦労したことはありますか?

 

髙淵:
今回の案件は、売り手がご引退を考えられていたので、売上があまり高くなく、利益も多くありませんでした。なので、利益重視で案件を探している先生にとっては、あまり良い案件ではなかったかもしれません。

ですが、私としては立地と内装の状態のよさという点で「買い手はいずれ見つかるだろう」と思い探索をしておりました。

 

 

4. トップ面談・内見

 

Q9 トップ面談・内見はどのような方針で行いましたか?

 

髙淵:
前提として、売り手からは「弊社が良いと思って選んだ候補者ならば、どなたでもよい」という風におっしゃっていただいていました。また、売り手にはご病気があり、閉院する時期も決まっていたため、ある程度開業時期が決まっている先生ではないと難しいという点もありました。
そのため、問い合わせをいただいた買い手候補の中には、医療法人もいらっしゃいましたが、管理医師の準備などで計画通りに進むか見えない医療法人はお断りする方針で進めていました。

 

Q10 トップ面談・内見では、どういったところを確認されていましたか?

 

竹野:
買い手がトップ面談で確認していた内容としては、まずは売り手の人柄と医療機器の確認です。医療機器に関しては、最終的にすべて買い替えることになってしまいましたが、「現状問題なく作動するか」「どのような医療機器があり、承継後に使えるかどうか」を確認していました。また、スタッフの休憩室なども確認されていました。

 

Q11 トップ面談は何件行いましたか?

 

髙淵:
2件です。今回の買い手と、医療法人でした。ただ、医療法人には継承後の管理医師がいなかったことや、今回の買い手のお人柄を売り手が気に入っていただいたこと、買い手の開業時期が明確に決まっていたため、今回の買い手で進みました。

 

Q12 トップ面談・内見は、どれくらいの時間がかかりましたか?

 

竹野:
大体30~40分程度です。時間的には一般的か少し短いというところです。売り手の体力的に長時間の面談は難しかったため、その点を踏まえた上でご迷惑にならない範囲でのトップ面談となりました。

 

Q13 トップ面談はスムーズに進みましたか?

 

竹野:
買い手は初めてのトップ面談でしたので、私の方で事前に進め方について打ち合わせをしました。

 

Q14 買い手は比較検討していた他の3案件もすべてトップ面談を行ったのでしょうか。

 

竹野:
はい。弊社だけではなく、他のM&A仲介会社さんがご紹介している案件もあったため、多角的に見ることができたなと思います

 

 

5. 意向表明書の提出に関して

 

Q15 今回、意向表明書の提出は行いましたか?

 

竹野:
はい、行いました。買い手は意向表明も初めてでしたので、私の方である程度のひな型を準備しました。承継への想いや承継した理由に関しては、買い手に記入いただく形で作成しました。

今回、承継の時期も重要なポイントでしたので、逆算した上で「いつまでに何をするか」というスケジュール案も一緒に提出しました。

 

Q16 意向表明書の提出が決まってからは、スムーズに進んだのでしょうか。

 

竹野:
そうですね。トップ面談と他の案件を見る期間で約1カ月かかったので、意向表明は6月末に提出しました。なので、5月から意向表明の提出に向けて動き出し、6月末に提出したという流れです。

 

 

6. 譲渡価格の決定

 

Q17 今回、譲渡価格はどのように決めましたか。

 

髙淵:
基本的には、売り手の希望価格で進みました。

 

Q18 そうなのですね。その価格は、一般的に価格算定した金額と比較するとどのような印象でしたか?

 

髙淵:
多少、割高な印象でしたが、買い手はその価格に合意してくださりました。

 

竹野:
弊社でも価格算定を行って情報提供はしていました。そのうえでご納得いただいて進めておりましたが、交渉中も売り手の体調不良で患者数が減少したことにより、意向表明後に買い手から譲渡価格の変更がありました。

 

髙淵:
はい。価格変更はありましたが、売り手としては許容範囲の価格でした。

 

Q19 譲渡価格はどれくらい変更されたのでしょうか。

 

竹野:
300~400万円程度です。

 

Q20 それは、どのように計算されたのでしょうか。

 

竹野:
もともと、営業権としての金額が設定されていた案件でしたので、患者さんの減少を根拠にその部分を減らしました。買い手の希望譲渡価格が2,000万円以下でしたので、税込2,000万円以下となるように計算し、結果として300~400万円の変更となりました。

 

 

7. 基本合意契約について

 

Q21 基本合意契約は締結されましたか?

 

竹野:
いえ、今回は締結していません。

意向表明書の時点で他の候補ではなくて、今回の買い手と進めることが決まっていたのと、その時点で独占交渉権も付与されていたので特に締結はしませんでした。

 

 

8. 融資について

 

Q22 買い手の融資について教えてください。

 

竹野:
融資は、弊社の開業支援チームの方で対応しました。税務顧問を弊社で受注させていただいていたので、開業支援チームと一貫した支援を行うことができて、スムーズに進みました。

 

Q23 今回、買収監査はしましたか?

 

竹野:
していません。スキーム的にも多額の費用をかけて行う項目も少なく、資料も依頼したものをしっかりとご用意いただいていたので、総合的に判断して、外部の専門家による買収監査は行いませんでした。

 

 

9. 最終譲渡契約

 

Q24 今回、融資もスムーズに進み、買収監査もしなかったとのことですが、意向表明を提出してから最終譲渡契約まではどのくらいの期間で進みましたか?

 

竹野:
約3カ月です。順調であったと思いますが、時間がかかった点として、売り手の建物が売り手の自己所有だったため、賃貸契約書の更新や巻き直しが必要となりました。また、融資と並行して賃貸契約書の作成も行っていたため、想定よりも時間がかかりました。

 

髙淵:
そうですね。売り手側としては特に問題なく進みましたが、やはり売り手の自己所有の物件でしたので、その物件を賃貸するというところで、管理会社との調整が必要になりましたね。

 

竹野:
賃貸契約書の作成は、弊社の不動産チームが対応していましたが、オーナー様や不動産会社とのやりとりもあったため、その点でも時間をいただくことが多かったです。

また、融資に関しても、交渉自体はスムーズでしたが、買い手が遠方にお住まいでしたので、WEBでしか融資面談ができないことを条件に融資先を探索したことも、最終譲渡契約までに時間がかかった一因です。

 

Q25 遠方からの融資や譲渡ということで、苦労した点はありますか?

 

竹野:
やはり、譲渡契約書の説明もWEB会議だったり、ちょっとした契約書の捺印も郵送で行ったりと、なかなか買い手と直接会えるタイミングがなかったことは苦労しました。
直接会える機会が少ない分、余裕のあるスケジュールを組む必要があったので、それも譲渡契約までの期間が長くなった理由かなと思います。

 

Q26 最終譲渡契約書はスムーズに締結できたのでしょうか。

 

竹野:
はい。双方大きな交渉も無く、スムーズに締結できました。

もともと、売り手の先生は承継後にご引退されるとのことでしたので、従業員さんの引き継ぎに関してもお任せいただいていました。そのため、譲渡契約書に細かい制約を追加することもありませんでした。

 

髙淵:
そうですね。売り手も周辺のクリニック情報をまとめてくださったり、医師会の入会の手続きなども柔軟に対応してくださいました。買い手との相性も良かったので、スムーズに締結できた印象です。

 

Q27 スムーズだったのですね。参考に強いて挙げれば大変だった点を教えてもらえますか。

 

竹野:
強いて言うならば、買い手と承継前にどれくらい直接会えるかという点は、苦労しました。保険診療の遡及申請をするためにも、承継日よりも前に買い手が引継ぎ勤務をしなければいけなかったのですが、その日程調整も大変でした。

 

 

10. 譲渡実行

 

Q28 譲渡実行を終えての感想を教えてください。

 

髙淵:
今回、売り手の閉院時期が決まっていた案件でしたので、そこに運よく立地を気に入ってくれた買い手が見つかったことは非常に良かったなと感じます。

あとは、今回の売り手・買い手は弊社の連携先が紹介してくれたので、その連携先の顔を立てることができたことは、担当者としても良かったと思います。

 

竹野:
今回は、不動産や融資などのスケジュール調整が難しかったものの、双方様のおかげで大きな問題はなく成約できた印象です。また本件では、承継をしてから、1カ月以上の大きな内装工事を行いました。そのため、工事スケジュールを踏まえての内覧会やスタッフ採用を考えなくてはならず、M&Aの成約だけでなく、開業までで考えると難しい案件でした。そういった点も一貫して支援できる弊社の強みを活かせた案件かなと思います。

 

Q29 大規模な内装工事を行っても、行政手続き面など問題なかったのでしょうか。

 

竹野:
はい、問題はありませんでした。平面図自体は大きな変更が無かった点が大きかったと思います。

 

 

Ⅳ. 全体を通して勉強になった点、大変だった点について

 

Q30 今回特に大変だったことを教えてください。

 

髙淵:
全体的にはスムーズに進んだなと思いますが、やはり賃貸条件がなかなか決まらなかったところの調整は大変でした。買い手としては、CTを入れたいという想いや、内装やレイアウトに手を加えたいなどの希望があり、一部売り手を混乱させてしまった部分があったと思います。最終的には、CTは入れずに円満に解決しました。

 

竹野:
はい。やはり内装工事なども初期想定していなかったので、売り手との連携が大変でした。内装工事で1カ月の期間空いてしまうので、その間の患者さんの対応をどうするのかなど、譲渡契約締結後に起きた問題でした。しかし、売り手と買い手の先生方が協力しながら柔軟に対応してくださったおかげで、大きなトラブルにならずに終えられたと思います。

また、医師会の手続きも大変でした。買い手が遠方の住まいだったので自身で手続きができず、私が医師会に行き書類をもらって、買い手にお伝えしたことは、通常とは異なる部分でした。

 

Q31 最後に、全体を通して勉強になったことを教えてください。

 

髙淵:
やはり閉院時期が決まっている中で買い手を探すというのは、私たちとしてもプレッシャーがかかる案件でした。

時間的猶予もない中で、売り手から「途中で辞めてよいか」という相談も何度も受けました。ただ、休診してしまうとのれん代としての価値が下がってしまうため、診療時間を減らして継続してもらう相談をしに何度か足を運びました。買い手探索もそうですが、最終譲渡契約までの7カ月間どうやってつなぎとめるのかという部分に関しても、今回は学ぶことが多かったです。

 

竹野:

医師会の点で言いますと、通常は先生が個人で対応することが多い中で、今回初めて医師会に行ったことで「こういう手続きが必要なのか」と、とても勉強になりました。

また、内装工事に関してもどれくらいでめどが立つのか、工事の内容によっては医療機器をどうするかという細かい部分の対応に関しても聞くことができました。

このような部分は、通常のM&Aをしているだけでは携われない部分なので、大変勉強になりました。

 

 

Ⅴ. 終わりに

今回は事業譲渡案件の成約インタビューを売り手側・買い手側担当にそれぞれ行いました。弊社には柔軟に対応できるコンサルタントと、マッチングからM&A後の開業支援まで一気通貫で支援する体制が整っております。
今後も、事業譲渡したい方や譲受して開業されたい方、新規で開業されたい方、皆様の挑戦に不可欠な存在になるべく、誠実に想いに寄り添いながらご支援をさせていただきます。

 

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著者:株式会社G.C FACTORY 広報部

日々、医療機関経営の経営に関するコラムを執筆したり、院長先生へのインタビューを実施。
大手医療法人の理事長秘書、看護師、医学生、大手メディアのライターなど、
様々な背景を持つメンバーで構成しています。

 

 

担当コンサルタント

竹野 貴弘(たけの たかひろ)

コンサルティング事業部 コンサルタント

経歴:リハビリテーション病院、調剤薬局会社、介護事業会社を経て、現在に至る。現在はヘルスケア領域での経験を活かし、M&A、コンサルティング業務を行う。

資格:理学療法士、事業承継・M&Aエキスパート

 

担当コンサルタント
髙淵 信行(たかぶち のぶゆき)

コンサルティング事業部 課長

経歴:国内医療機器メーカー、医師紹介会社、医療系コンサルティング会社、「(株)メディカルノート」コンサルティング事業部設立メンバーを経て、(株)G.C FACTORY 創業第一期メンバーに至る。医療系M&A・新規開業支援業務では、50件以上の成約実績がある。現在、コンサルティング事業部の大黒柱として内外問わず信頼は厚く相談多数。ライフワークはサーフィンと育児。

資格:M&Aシニアエキスパート(事業承継・ M&A エキスパート協会/運営:日本M&Aセンター)