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G.C FACTORY編集部

M&A成約事例

M&A成約事例「一都三県、内科、医療法人からの事業譲渡案件」

 

 

Ⅰ.はじめに

 

 この度、弊社がご支援をさせていただいた一都三県の医療法人がご成約となりました。 そこで、担当者である、M&A仲介コンサルタントの竹野に本件についてインタビューを行いました。

売り手の受注から譲渡実行までの詳しい流れや苦労した点、全体を通して勉強になった点についてのインタビューです。これからM&Aを考えている多くの先生のご参考にしていただければと存じます。

案件概要
エリア 一都三県
診療科目 内科
売り手 医療法人 理事長先生(個人)
買い手 医師(個人)
譲渡対価 営業権5000万円+譲渡時点の純資産
スキーム 基金譲渡と退職金支給
譲渡契約書締結までの期間 約5ヶ月間
譲渡契約書締結から譲渡実行までの期間 約8ヶ月間
G.C FACTORY  役割 ・仲介業務(売り手:竹野、買い手:金子) 
・行政手続き(行政書士法人G.C FACTORY)
・継承開業支援(金子)

 

Ⅱ. M&A成約までのスケジュール

大項目 詳細 始期 終期
売り案件受注 売り手からの相談 機密保持契約書の締結 2023年5月初旬 2023年5月下旬
相手探し 買い手候補の探索 2023年5月下旬 2023年7月上旬
買い手候補からの質問対応・内見 2023年6月初旬 2023年7月上旬
買い手候補からの意向表明提出 2023年7月末
基本合意契約 契約書作成 内容摺り合わせ 締結 2023年8月上旬 2023年8月下旬
銀行融資 融資面談 融資先決定 2023年8月末 2023年9月中旬
最終契約譲渡契約 契約書作成 締結 2023年8月末 2023年9月下旬
クロージング 譲渡実行 2023年3月末

 

Ⅲ.各工程の詳細についてのインタビュー

 

1. スケジュール作成に関して

 

Q1 今回の譲渡スケジュールは、どのように決まりましたか?

 

竹野:
最初に、売り手が退任したい日時をヒアリングしました。「この時期までには譲渡したい」という時期が明確に決まっていましたのでそこからスタッフへの告知時期や患者さんの引継ぎ期間も逆算してスケジュール調整しました。

 

Q2 他にもスケジュールを決めるにあたって考慮した点はありますか?

 

竹野:
買い手が医療法人だったということもあり、理事長候補は決まっていましたが、管理医師が未定だったため、管理医師採用のスケジュールも考慮して決めさせていただきました。

 

 

2. 売り手の受注

 

Q3 次に、売り手はどういった経緯で受注になったのかを教えてください。

 

竹野:
はい、弊社代表の友人からの紹介でした。弊社の受注案件の9割以上はこのように紹介によるものです。まだまだお若い先生でしたが、後継者不在ということもあり、早めにM&Aに動かれたいという希望でした。

 

 

3. 買い手の探索

 

Q4 買い手の探索はどのように行いましたか?

 

竹野:
まずは、弊社が持つデータベースから、ご希望に合った買い手を探索いたしました。それと同時に、弊社グループ税理士法人の顧問先で分院展開を検討している法人に対してご案内をしていました。その中で偶然弊社と長くお付き合いのある顧問先に今回の案件について提案をしたところ、前向きに話が進みました。

 

Q5 買い手からの問い合わせは、何件くらいありましたか?

 

竹野:
最終的に5件問い合わせがありました。売り手があまり多くの方に開示をすることに懸念を示し、3件に情報を開示して検討をしてもらいました。内見希望も3件入りましたが、最終的には先程お話した顧問先医療法人が1番に内見をして独占交渉権を付与することに決まったという経緯です。

 

Q6 複数問い合わせがあった中で、お断りしたのはどのようなケースでしょう。

 

竹野:
買い手候補が株式会社であったケースです。今回に関しては、売り手がこういった企業様に継承をしてもらうことに不安を抱えられていたことが理由です。医師や医療法人と異なり、管理医師確保に苦戦をするのでは、という点を特に懸念されておりました。

 

 

4. トップ面談・内見

 

Q7 内見では、どういったところを確認されていましたか?

 

竹野:
内見では、医療機器や設備、電子カルテなどの状況をしっかり確認しておられました。またその際に、スタッフ様の性格や役割分担、患者さんに多い疾患などについても確認をしていました。また、面談時に特に買い手が気にしていたのは建物の賃貸契約を継続できるかという点でした。

 

Q8 賃貸オーナーに関する質疑はどのような内容でしたか?

 

竹野:
賃貸オーナーとの元々の関係性や、現在の賃貸契約書の条件の継続の可否、駐車場があるのかなどです。医療法人の譲渡だったので、契約の継続については問題無い可能性が高かったので、次の更新の際に賃料が上がることなどを懸念されている様子でした。

 

Q9 内見には、どれくらいの時間がかかりましたか?

 

竹野:
トップ面談と内見合わせて、約1時間半お話をしました。

 

 

5. 意向表明書の提出に関して

 

Q10 買い手から意向表明を出していただくにあたり、心がけていたことはありますか?

 

竹野:
意向表明書の記載事項は案件ごとに違いがあります。どこまで内容を詰めて意向を出すのかなど、売り手様の希望に合っているかを弊社でしっかりと確認するように心掛けていました。

 

Q11 意向表明書の提出はスムーズに進みましたか?

 

竹野:
はい。条件ももちろんですが、今回は、患者さんをどうやって診療していくのかなどの、医療の部分について両者が意気投合していたこともあり、意向表明はスムーズに受け入れてもらいました。

 

 

6. 譲渡価格の決定

 

Q12 今回、最終的な譲渡価格はどのように決めましたか。

 

竹野:
弊社グループ税理士法人の税理士と一緒に価格算定をしました。(営業権+純資産)それを売り手に提案しまして、そのまま受け入れていただきました。また買い手の意向表明もその金額で出していただきました。

 

 

7. 基本合意契約について

 

Q13 次に基本合意について教えてください。大変だったことはありましたか?

 

竹野:
今回は、基本合意の段階で、「管理医師をいつまでに決めるか」、「スタッフにはいつ頃に譲渡することを伝えるか」など、細かく定めたので、その点は苦労しました。

 

Q14 普段は、基本合意契約では細かく決めないことが多いのですね。なぜ今回は細かく決めて作成したのでしょう。

 

竹野:
売り手が、比較的心配性な方でして、スケジュールを基本合意の段階で決めたいご様子でしたので、安心していただくために細かく決めて作成しました。

 

Q15 売り手様の気持ちに寄り添った結果、細かく作成したのですね。今回、基本合意はどのような方法で契約締結しましたか?

 

竹野:
今回は、双方とも郵送で行いました。

 

 

8. 融資について

 

Q16 融資の相談をするにあたって、いくつの銀行に相談をしましたか?

 

竹野:
買い手が医療法人であり、すでに連携のある銀行があったので、まずはその銀行に融資の相談にいきました。比較検討するために、最終的に3行と話しました。

 

Q17 銀行を探す際、気をつけたことはありますか?

 

竹野:
はい、今回は最終譲渡契約締結までに融資承認を目指しました。最終契約締結後に、融資が通らないことを理由に破談になることが無いようにしたためです。

 

Q18 譲渡契約締結までに融資の有無がわかるのは安心ですね。今回の銀行の条件を教えてください。

 

竹野:
条件としては、調達金額は1億円、金利1.0%(変動金利)、期間10年(据え置き1年)です。

 

Q19 どれくらいの審査期間で決まりましたか?

 

竹野:
3〜4週間です。金利、期間などのメリット・デメリットを比較検討して、買い手と話し合って今回お願いをする地方銀行に決めました

 

9. 最終譲渡契約

 

Q20 最終契約はスムーズに進みましたか?

 

竹野:
はい、比較的スムーズに進みました。 売り手の継承後の引継ぎ勤務に関して、日数や条件で多少時間を要しましたが、全体的にとてもスムーズに進みました。

 

Q21 最終契約で苦労した点はありますか?

 

竹野:
契約書確認の弁護士とのやり取りですね。 今回、契約書は弊社の顧問弁護士が中立の立場で作成して、弊社がひな型として提供をさせていただき、双方がご自身又は弁護士に発注をして確認する流れだったのですが、その際の売り手側の弁護士先生が少し難しい方でした。あまり医療機関のM&Aに精通されていない先生だったのか、依頼主の売り手も首をかしげてしまうような、少し的を外れていると思われる修正が多く、その調整に苦労しました。

 

Ⅳ. 全体を通して勉強になった点、大変だった点について

 

Q22 今回特に勉強になったことを教えてください。。

 

竹野:
今回は売り手の顧問税理士との打ち合わせの機会が多かったため、税務面で深い質疑が生じました。わからない点は、弊社グループ税理士法人にすぐに確認できる環境でしたので、税務に関しても学びを深めることができました。 具体的には、退職金にかかる税金計算や、その際の法人側の損金算入額などについて細かなやり取りをしたので勉強になりました。 今後も、売り手様の税理士とやり取りする場面も多いため、税務に関する知識を深めていきたいです。

 

Q23 ありがとうございます。最後に今後の意気込みを教えてください。

 

竹野:
G.C FACTORYに入って、自分が中心となって担当をして案件成約したのは今回が初めてでした。売り手からの多くの質問に対応し、買い手の想いにも寄り添って、両者納得のいく成約に導くことをすることができました。本件は、まだ譲渡実行まで支援が継続しますので、最後まで売り手様と買い手様のお気持ちに寄り添いながら、やり切りたいと思います!

 

 

Ⅴ. 終わりに

今回は法人譲渡の案件の成約インタビューを行いました。弊社では、マッチングからM&A後の開業支援まで一気通貫で支援する体制が整っております。今後も、事業を譲渡したい方や譲受して開業されたい方、新規で開業されたい方、皆様の挑戦に不可欠な存在になるべく、誠実に想いに寄り添いながらご支援をさせていただきます。

 

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著者:株式会社G.C FACTORY 広報部

日々、医療機関経営の経営に関するコラムを執筆したり、院長先生へのインタビューを実施。
大手医療法人の理事長秘書、看護師、医学生、大手メディアのライターなど、
様々な背景を持つメンバーで構成しています。

 

 

担当コンサルタント:竹野 貴弘(たけの たかひろ)

株式会社G.C FACTORY コンサルティング事業部 コンサルタント

経歴:

リハビリテーション病院、調剤薬局会社、介護事業会社を経て、現在に至る。

現在はヘルスケア領域での経験を活かし、M&A、コンサルティング業務を行う。

資格

理学療法士

事業承継・M&Aエキスパート