G.C FACTORY編集部

クリニックM&A

医療機関M&A後のマーケティングに関して

 

Ⅰ.はじめに

医療機関をM&Aで継承すると、初期段階から一定の患者数を見込めます。一方で、継承後のクリニックの名称変更をして認知活動を行う必要があるケースや、継承前の段階で患者数が落ち込んでいるケースもあるため、マーケティングは継承開業にとっても非常に大切です。

今回は、医療機関M&A後のマーケティングにおける各広告別の留意点について解説します。

Ⅱ. 各広告別の留意点に関して

ここでは、クリニックの看板やホームページなど、各広告別の留意点に関して解説します。

 

1 クリニックの看板に関して

継承後に、クリニックの名称を変更して看板を取り替える場合には、売り手の最終診療後から翌日の買い手の診療が始まるまでの間に取り替え作業を行います。

しかし、作業時間が夜間となるため、売り手や業者との都合がつかない、夜間の割増費用がかかるなど、さまざまな事情で夜間に看板の取り替え作業ができない場合があります。

このような場合、売り手とスケジュールについて相談をして、看板を取り替える日程を決める必要があります。

 

例えば、3月31日が売り手の最終診療予定のところを、3月30日までの診療に変更してもらい、31日は休診日として取り替え作業をする、もしくは4月1日に買い手が開業予定のところを休診にして、看板の取り替え作業日に充てるなどです。

 

2 駅看板などに関して

駅看板は、契約内容の確認が必要です。何年契約なのか、取り替え費用は必要かなどをM&A前に確認をして、売り手と買い手で費用分担をした上で、取り替えを行います。

 

また、例えば1年毎の契約の場合、買い手が同じ場所の駅看板の設置をを希望する場合には、継承前と継承後で期間案分することができますが、買い手が駅看板を継承しない場合は注意が必要です。

例えば売り手が駅看板を年単位で契約していた場合には、その残りの費用や期間について双方で相談をする必要があります。また、撤去する場合の撤去費用はどうするのか、中途解約金はかかるのかなど、確認しておくべき点について、売り手と決めておくことが大切です。

 

3 ホームページについて

多くの場合、譲渡実行前で、売り手のホームページが残っている状態で、買い手のホームページを公開します。その際に、買い手の新しいホームページには、「開業準備中」「〇月〇日継承予定」などの文言をいれて掲載し、売り手のホームページには「継承のお知らせ」などを掲載すると良いです。

留意点として、スタッフや患者さんに継承を周知した後でホームページを掲載する必要があるので、丁寧なスケジュールを組む必要があります。

また、売り手がクリニックを廃止した後も、売り手のホームページは一定期間残しておき、買い手のホームページへの転送設定をしておくケースが多いです。

 

4 各種ポータルサイトについて

医療機関の情報を取りまとめている各種ポータルサイトは、売り手が自身で登録をしていなくても、自動でクリニックの情報を掲載している場合があります。

留意点として、例えば継承後にクリニックの名称、休診日、診療時間が変更されないままの情報が掲載されていた場合、患者さんの混乱を招く原因となってしまいます。そのため、有料で登録しているポータルサイトはもちろん、元のクリニック名で検索をして出てきたポータルサイトに関しては、継承後の情報について修正連絡が必要です。

 

5 採用広告に関して

採用広告は、継承することをスタッフに周知、説明した後で掲載します。

留意点として、新スタッフの募集条件が既存のスタッフの待遇を上回らないようにする必要があります。

医療法人譲渡の場合は、売り手の医療法人で採用募集をすることになり、雇用契約書にも売り手の印鑑を借りることになります。そのため、買い手は売り手と相談をして、売り手の承諾をとってから採用広告を掲載する必要があります。また、面接についても、買い手と売り手のどちらが行うかなどを相談しておくとスムーズです。

 

6 ポスティングに関して

継承開業のポスティングについては、地域に周知することになるので、売り手と掲載内容を相談して制作することが大切です。

継承の場合は、スケジュールのズレが発生する場合があるので、発注のタイミングにも留意が必要です。

Ⅲ. 終わりに

ここまで、医療機関M&A後のマーケティングにおける各広告別の留意点について解説しました。

開業後に安定して集患するためには、継承前から売り手と買い手の双方で各広告に関するスケジュール調整をしておくことが大切です。継承後に円滑なマーケティングができるよう、M&A仲介会社のコンサルタントに相談してみてはいかがでしょうか。

弊社では、開業後のマーケティング支援もサポートしております。ぜひお気軽にご相談ください。

 

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著者:株式会社G.C FACTORY 広報部

日々、医療機関経営の経営に関するコラムを執筆したり、院長先生へのインタビューを実施。
大手医療法人の理事長秘書、看護師、医学生、大手メディアのライターなど、
様々な背景を持つメンバーで構成しています。

 

 

 

 

監修:金子 隆一(かねこ りゅういち)

(株)G.C FACTORY 代表取締役

経歴:

国内大手製薬会社MR、医療系コンサルティングファーム「(株)メディヴァ」、「(株)メディカルノート」コンサルティング事業部責任者を経て、2020年4月、(株)G.CFACTORY設立、現在に至る。医療系M&A、新規開業支援、運営支援において実績多数。

実績・経験:

・開業支援(約50件)、医療機関M&A(約40件)、医療法人の事務長として運営を3年間経験

・複数の金融機関、上場企業におけるM&A業務顧問に就任

・大規模在宅支援診療所の業務運営の設計及び実行責任者を兼任